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日々の所感を徒然と綴っていくブログ。FGOとかアイマスとか…

劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel] 感想&HF新規に向けて


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どうもこんにちは。

記事あげるまでに時間かかりましたが一応初日に見てきました。(書き上げるためにSN引っ張り出して少し復習しておりました)

極力今後の展開についてネタバレがないように配慮しますが、世に出て10年以上経つ作品であること、また筆者が文句つけたがりの性格だということをこれまでの記事から理解した上で読むことをおすすめします。

  

 

 ↓

 

 

 

 

もくじ

 

本編の感想について

まず、個人的かつ率直な感想を述べるとするなら、

「凄い! けど惜しい…!」ということでした。

ですが、あくまでこれは作品の出来不出来ではなく、単純に三部作という問題から来る「尺の足りなさ」という問題です。

やはり原作のビジュアルノベルであるがゆえの長さは、デメリットでありながらも感情移入などのための大きなメリットだったと痛感いたしました。

恐らく、映画のみを見るだけでは、近年の映像化作品やゲームだけでは

イリヤ……!」

とはなっても、

「桜……!」

とはなれない人もいると思います。

そういった意味ではファン向けであるのかなぁと。

そして、そんな方のために老婆心ながら記事の後半を書きました。

是非最後までお付き合い下さい。

 

さて、僕が購入したのはLV付きの視聴だったのですが、舞台挨拶で須藤監督がおっしゃった通り、演出面に関しては見事の一言。

氏が一つ一つに意味があるとされていた情景描写は然ることながら、キャラの表情や目線に至るまで綿密に描かれておりました。

TV版のUBWの監督については、(劇場版空の境界の担当作の出来の影響もあってか)いろいろと賛否のある展開や演出があったのですが、その点須藤氏に関してはあまり心配はしていませんでした。

加えて、元々原作である「長くても問題がない」ゲームと違って、アニメや劇場版は「決められた尺に収める必要性」が存在するため、メディアが変わる上での改変はある程度当然のものだとは私も承知しています。(もちろん変えないことが映像化という意味でベストではありますが)

それは大筋に影響がなければ是とされますし、今回はそれが予想以上にいい形になっていました。

 

視聴しながらまず感じたのは慎二の心理描写が非常に分かりやすく描かれており、原作本編のみだと抱かれがちなイメージである単なる「イヤな奴」感ではなく、何だかんだ士郎を気にかけていることやコンプレックスも醸し出されています。

よく分かるのは部を辞める士郎を見送るシーンと、頼み事を断らなかった時の表情ですかね。

しかし気付きこそすれど、初見ではそこまで深くは察せないと思います。

そこは関連作を読むべきでしょうか。

 

次に、原作とは異なる展開。

キャスターと葛木宗一郎の結末は、アサシンの見せ場を作る上でも良い改変・補完でした。

原作は原作で状況の謎っぷりとあっけなさ、キャスターの凄まじい絶望がHFの雰囲気の導入には合っているのですが、映像化に関してはこちらの方がいいと思います。

あれ? 士郎ルールブレイカー見た? ともなりましたが、後の場面でキャスターに見せ場を作ると共にその問題も解決しててファインプレーです。

それと、夕焼けの教室の場面が土蔵に取り入れられていましたね。

僕はあの場面での士郎と桜の会話が好きだったので個人的には残念ですが、尺を考えると良い落とし所だったと思います。

あとは桜の私服が新規のものになっていたのは、士郎と視聴者の気持ちを同調させる良い判断でした。

原作のあの場面で来ていた曰く大河のお下がりである例の桜色の服は、私たち既プレイヤーは度重なる映像化などで見慣れているのに対し、桜ルートにおいては初めて士郎が桜の私服を見てドキドキするシーンなので、新規のものにすることで我々も近い気分になることができました。

……で、ここを書いていて思ったのですが、士郎くんもうちょい性欲出してもいいのでは? という。(笑)

原作では童貞かよ(童貞です)というほどに誰にでもドキドキしまくっていたので、何となく寂しい……。

まあそれはそれとして、ランサーもそうですが原作では前ルートまで活躍した奴があっけなく死んでいったサーヴァントに見せ場があるのは良いことです。

もちろん、あっさり敗北するのが良いんだろうがという声も充分理解できるというか、僕個人もそう思っています。

ですが、映像化・メディアの違い・ファン層がどっと拡大化したなどなどを考えると、ホラー風味より見栄えを重視せざるを得ないのでしょう。

ギルガメッシュについても、しっかりと抵抗した上で最後はあっけなく……というものを望みます。

また、ホラーといえば二度目の「影」の登場シーンは無音でしたが、欲を言えば初登場シーンから無音にしたり、やはりもっと露骨に恐怖を煽ってほしかったなぁと。

折り合わせとかいろいろ難しいんでしょうが……。

あとは、正義の味方という理想をもう少し強調してほしかったですね。

これは士郎の信念の話に加えて、もう一つ理由がありますので。(後半で述べます)

 

なんて感じで言いたいこともいろいろありましたが、概して言えば本当に良い映画でした。

桜ルートをここに作ってもらえてよかったです。

尺さえあればという感じで、原作の販促として、良さの一部を感じてもらう導入編としては最高の出来だと感じています。

性格柄、原作とどうしても比較してしまうので、ディーンだからとかufotableだからとかではなく、筆者が単純に面倒くさい性格なんだと知っていただければ幸いです。

 

 

「花の唄」と「Another heaven」

視聴後まで聞かないようにしていた「花の唄」を購入・拝聴しました。 

いつもながらAimer氏の歌唱力に加え、梶浦氏のサウンドや歌詞も非常に良かったです。

kashinavi.com

フルサイズをまだ聞いていないという方に説明するなら、

  闇の底に堕ち、独り耐えていた“私”が、“貴方”に一条の光を見た。

    もうひとりじゃない。

      ――でも、出口はまだ見えない。

といったものでしょうか。

少年が彼女に手を差し伸べても闇の中から引きずり出すことはまだ出来ず、また彼女も共倒れになってしまうことが分かっていながらその手を離すことが出来ない。

もうひとりじゃない。

でも二人で闇に沈んでいく。

――でももう寂しくない。

一見良く思えても、散るという単語に引っかかりが残る(最後の一文)ことや暗い感情を感じる印象で、第一章にはぴったりの歌です。

歌詞解釈については桜ルート序盤をなぞっているので分かりやすいのですが、何度聞いていても「花びら」の解釈が定まらないという問題が……。

誰か歌詞読解とか得意な方いらっしゃれば是非とも教えていただきたいですね……。

 

で、一応知らない方向けに説明しておくと「Another heaven」はPSVita版のFate/stay night [Réalta Nua] における桜ルートでの主題歌です。

こちらはearthmindという方の曲なのですが、多くの方が絶賛する通りHFを見るなら一度映像含め視聴をおすすめしたい一曲です。

www.kasi-time.com

まあ映像自体にネタバレを多く含むので嫌な方は基本的にクリア後をおすすめしたいのですが、新規には如何ともし難いのが難点ではあります。

加えてこの曲は、何よりもアウトロが最高の一言に尽きるのです。

前ルートまでの2曲に比べて非常に異質かつ重々しいイントロと中々光が見えない歌詞を噛み締めながらラスサビを聞き終えると、すべてを洗い流していくかのように彼らのこれからを暗示するメロディが流れて……初めてフルで聞いた時は圧倒されました。

最初と最後のサビのメロディの違いも必聴です。

んで、何故これをここで取り上げたかというと「花の唄」が間桐桜の歌であるなら、こちらは桜ルートにおける衛宮士郎の曲だからです。

 

Fate/stay night とは、衛宮士郎の物語です。

真に本作を楽しむのであれば、彼のことは理解しておかなければなりません。

Heaven's Feel は、衛宮士郎が自らの矛盾と向き合う話です。

前ルートまでは問題に挙がらなかった「自分にとってかけがえのない存在が、己が理想のために排除しなければならない存在になってしまった時に、何を選択し何を切り捨てるのか」が問われます。

衛宮士郎の理想に対してセイバールートが問題編、凛ルートが回答(≠解答)編で、このルートが応用編と表されるのは、これらが地続きであり、桜ルートの士郎が前ルートとは全く異なる答えを選択するわけではないということです。

正義の味方よりも桜を優先することを選んだ彼が、二人でないと報われないと理解しているのにもかかわらず(True END)、それでも自身は勘定に入らないという逸脱性がそれを表しています。

また、ルート内のアーチャーの言動からも、この選択が「衛宮士郎の死」でありながら「“衛宮士郎”という呪いからの解放」だということ読み取れると思います。

惜しむらくは映像化作品にはタイガー道場がないことか。

だからこの選択をした士郎のことを叩かないでやって下さい!

また、同ルートは衛宮士郎でなくとも、登場人物の多くが自身と向き合い、何かを清算する話でもあります。

間桐桜は、自身のルートであるこの中で自分の弱さを認め、さらけ出さねばなりません。

ですが、Zeroを考慮したとしても映像化作品のみでは感情移入が追いつかないのではないかというのが正直な僕の考えです。

そこで、新規の方向けに押さえておきたいポイントをまとめてみました。

 

 

 

第二章を見る前に知っておきたい最低限のこと

今回のHF第一章が初めてのFateである方、Fate/stay night を全く/アニメ版でしか知らない方に、

「桜……!!」

となってもらいたいので、自分なりに考えました。

というのも、初見プレイ時の桜ルートの感想として、(主人公側が一年以上の積み重ねがあるのに対し)プレイヤー側はそれまで桜が物語的にすぐフェードアウトしてしまっていたため思い入れが足りない・感情移入できないというものがあったからです。

これは当時の感想であり今は桜叩き(馬肉とか言われてました)もめっきり見なくなりましたが、一方でより少ない・偏った情報源から桜を知ったという方が多いかもしれません。

手短に箇条書きでいきましょう。

 

衛宮士郎が隣りにいることは桜にとって何よりの幸せであり、傷付いてほしくない

それが高じて間接的に士郎を危険に晒す人は嫌で、その人がいなくなってよかったとも、逆に出歩かないために怪我しちゃえとも思ってしまう(気持ちが不安定なのも影響)

③士郎に知られたくない隠し事をしているのを負い目に感じていて、本当は隣にいてはいけないと思っている

④また、自分の味方をすることで彼が夢を諦めなければならないことにも罪悪感を抱く

彼女は精神的には普通の女の子であり、唯一我慢強かったために「助けて」が言えなかった

 

赤いところ重要です。テスト出ます。

②について解説。

よく桜は腹黒だと茶化されますが、本格的になったのはFate/hollow ataraxia からで、最初は身体的にも精神的にも弱っており、かつ臓硯に唆されあまりに士郎を想った結果でした。

初めから腹黒と思っていると、その色眼鏡のせいでこれから彼女のやることなすこと思うこと全てが目に付きかねません。

⑤について。

これが何より重要です。

桜は我慢強いの一点を除けば普通の女の子で、それは伝説・神話に名高い英雄たちや各々重い何かを背負ったマスター達が存在する作品内ではひどく目立ちます。

そのため、必要以上に桜がダメな人間だと思えてしまうことがあります。

間桐慎二はその役割が小物であるがゆえに影響は小さいですが、何せ自ルートで深く掘り下げられるヒロインなので、その「浮き方」はかなりのものになります。

そして、我慢強いということ。

これは我慢大会とかそんなレベルでなく、言峰をして驚嘆させるほどのものであり、そのために自身の暗い部分を内に内に秘めていってしまいました。

幻の慎二ルートとかはさておいて、助けてが言えないために桜は士郎というたったひとつの光にすがりながら、本人には打ち明けられずにこれまで過ごしてきたのです。

 

これらは今回描かれた部分でカットされた(後ろに回された?)り、または後の場面で出てくる話ですが、これらを知っておかないと初めから感情移入出来ないという人がいるということも事実です。

そういう意味では初見プレイヤーでない新規の方は恵まれているともいえます。

 

……まぁ、ほんとに感動した人は第二章待ちきれなくて原作購入するかもしれないから関係ないけどネ!

 

 

と、こんなところで書きたいことには区切りがついたので、ここまでにしておきます。

個人的な好みとしてはセイバールート終盤(とそれを踏まえた「Wish.」)が一番なのですが、全体的な出来としては桜ルートが好きなので中々熱が入っております。

長いことお付き合い下さりありがとうございました。

またFGOに関して、パールヴァティーヒンドゥー教との話についてはTwitterアカウントの方で自分の考えは大抵言い尽くしたので、ここでまとめることはないと思いますが、要望があれば貼り付けるなり新規で書こうと思います。

 

では、いつも訪れてくださる読者の皆様に感謝を述べて、この辺で締めたいと思います。

ありがとうございました。

 

 

P.S.

この記事がブログ初見の方にとっては他記事では中々キツイことが書かれてあると思います。

あらかじめ謝っておきます。

すみません。

 

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